「夜は短し歩けよ乙女」出演 花澤香菜インタビュー ―変わっていくことで“オモチロイ”ことに出会いたい―


「夜は短し歩けよ乙女」出演 花澤香菜インタビュー ―変わっていくことで“オモチロイ”ことに出会いたい―


花澤香菜

―変わっていくことで“オモチロイ”ことに出会いたい―

取材・文/映画ナタリー編集部 写真/佐藤類

森見登美彦の同名小説を原作にした劇場アニメーション「夜は短し歩けよ乙女」が、4月7日に全国公開された。京都を舞台に、大学のクラブの後輩“黒髪の乙女”に思いを寄せる主人公“先輩”が彼女を振り向かせるため画策する。同じく湯浅政明が監督したテレビアニメ「四畳半神話大系」が配信中のビデオパスでは、「夜は短し歩けよ乙女」のキャスト花澤香菜にインタビュー! 原作や自身が演じた黒髪の乙女への思い、声優としての信念などについて語ってもらった。

花澤香菜(ハナザワカナ)
1989年2月25日、東京都出身。2006年放送の「ゼーガペイン」で初のヒロインとなるカミナギ・リョーコ役に抜擢され注目を集める。その後「化物語」「海月姫」「ギルティクラウン」「PSYCHO-PASS サイコパス」などのテレビアニメでメインキャラクターに声を当て、新海誠が監督を務めた「言の葉の庭」でヒロインを熱演。出演作「劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女」「GODZILLA -怪獣惑星-」が公開を控えている。なお歌手としても活躍し、2月には4thアルバム「Opportunity」を発表した。

──オファーを受けたときの心境から教えてください。

もともと原作が好きだったんです。それで、この作品がアニメ化するのと“(黒髪の)乙女”に決まったというのを同時に聞いたのですごく驚きました。うれしかったんですけど、責任重大だなって思いました。

花澤香菜

花澤香菜

──それはファンが多い作品だからですか?

そうです。あと私の中で乙女のイメージっていうのが“オモチロイ”ことに向かってずんずん歩いていく、そういう天真爛漫な素敵な女の子だったんです。だから私にできるのかな?っていう。でもお酒が好きっていう共通点もあって(笑)。飲める量は全然違いますけどね。あとオモチロイことに出会いたいという思いと、それを引き寄せる運を持っているところは彼女と近いかも。

──早口で独特な言い回しが多いように感じました。収録は大変でしたか?

「夜は短し歩けよ乙女」

「夜は短し歩けよ乙女」より。©森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

私の中で天真爛漫なイメージが強かったので、実際に使われている声よりも、ほんわかした感じで演じていたんです。でも監督たちとお話する中で、武士道を教えられて育ってきたことによる肝が座った感じを押し出していったほうがいいんじゃないかという話になって、今のちょっと落ち着いたトーンに固まりました。

──本当に肝が座ってますよね。

ところどころ武士なんですよね、受け答えが(笑)。日常会話からして男らしいというか。劇中のお芝居のところでも、ちょっとセリフ読んだだけで、いけます!みたいなあの度胸はすごいなと。私はなんにでも緊張しちゃうので、あの物怖じしない姿は、素晴らしいなと思いますね。あと詭弁踊りのときの振り切りよう! 私はあそこまでできないので、ちょっと悔しいです(笑)。

──口が気持ちよかったセリフはありますか?

なんだろう……あ「なむなむ」! どういうふうに言おうかなって楽しみにしていたセリフだったので。あと“おともだちパンチ”の説明とかも面白かったですね。

花澤香菜

“おともだちパンチ”を披露する花澤香菜。

──乙女の注目ポイントを教えてください。

ずっと武士のまま、一定のテンションで進んできた彼女が、最後にちょっと変わるんですよ。だからそこを見てほしいですね。とっても表情がかわいらしいので。

──目まぐるしく舞台や作品のムードが変わっていきますが、特に好きなシーンは?

パンツ総番長が登場する演劇のシーンは、リハーサルビデオから大爆笑でした。あのシーンをロバートの秋山(竜次)さんが歌うんだと思って観てたらおかしくなってきちゃって、1人で笑ってました(笑)。練習しなきゃいけないのに、そこばっかり観ちゃって。皆さんもミュージカルシーンはびっくりすると思います。何が始まったんだっていう(笑)。

──確かに(笑)。星野源さんや神谷浩史さんも登場されて贅沢なシーンでもありますね。

乙女は妙にお芝居がうまくて、声もすごい変えられるみたいなことが原作に書かれていたので、初めはそれを意識して演じていたんです。そうしたら監督にセリフは全部棒読みにしてくださいって言われて。でも歌はノリノリで歌っちゃうというギャップを作りたいっておっしゃっていました。

──歌、とてもよかったです。

ありがとうございます。「千の風(になって)」や「アナと雪の女王」、ゴダイゴなど意識するものを変えて何パターンか録ってみて、場面のイメージを作っていきました。台本に、ゴダイゴっていうのは書いてあったので、調べてから行きました。

──星野さんや秋山さん、新妻聖子さんなど本職が声優ではない方も出演されていますね。

キャスティングを聞いてぴったり!って思いました。だからすごく楽しみでした。

──星野さんとはお互いにファンだと公言されていますね。星野さんが“先輩”役と聞いたとき、どう思われましたか?

星野さんが書かれた本を読むと、朗らかな中にもいろんなことを考えて過ごしていらっしゃることがわかるんです。同じように、原作に描かれた先輩も、生きづらいんじゃないかなと思うぐらい、いろいろ考えていて。そういうところが、星野さんにぴったりだなって思ってました。それで実際に声を聞いてみて、より愛らしさが増して。あと私、大学では日本文学を専攻していたんですけど、先輩みたいな男子がいっぱいいたんですよ。そんな世間に歯向かわなくていいからっていう(笑)。

「夜は短し歩けよ乙女」

「夜は短し歩けよ乙女」より。©森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

──現在ビデオパスでは湯浅政明監督が手がけた「四畳半神話大系」を配信中です。

この作品にも、「四畳半」のキャラクターが出てくるので、観ておくとより楽しめると思います。あと「四畳半」の特徴的なナレーションを、今回自分がやれたっていうのがうれしかった! ああいうテンションでしゃべるっていうのは、湯浅監督の作品でしかありえないことなので、すごく面白かったです。

──「四畳半神話大系」も森見登美彦さんが原作ですね。

森見先生と湯浅監督のマッチングって最高ですよね! ただ森見先生が描く京都と湯浅監督が描く京都ってまた全然違うと思うんです。先生の書く京都の街や登場人物はなんか身近にいそうな感じ、ちょっと変だけどいるかもしれないって思わせてくれる。でも湯浅監督の描くものは、変!!っていう(笑)。いたら面白い!みたいな。街も不思議な色使いで切り取られていたり、キャラクターでも(学園祭)事務局長の補佐みたいな人、あのオウムを肩に乗っけたお猿さんとかすごいですよね。これなんなの?って思っているうちに気付いたら終わってたみたいな。だから何回も観たいって思わせる魅力があって。どちらも「夜は短し」なんだけど違う面白さがあって、だからあわせて楽しんでほしいです。

──本作に限らずですが、ご自分が表現を行ううえでの信念みたいなものはありますか?

なんでしょう……作品によって変えないっていうことはしないで、作品によって変わっていくことですね。作品が求めていることをしっかりとやる。自分が考えることは、やっぱり求められているものをどう超えていくかというところですね。

──声優としていろいろな作品にご出演される中で、どんどん精度が上がっていると思いますか?

どうでしょうね……求められるものが毎回違うので。乙女でいうと、好きすぎて練習しまくっちゃったんですよ。そこがちょっと残念だった。反省点。自分が作り込んできたイメージから乙女の方向性が変わってしまったので、事前にがんばりすぎちゃいかんなと思いました。

花澤香菜

花澤香菜

──では最後に作品を楽しみにしている皆さんにメッセージを。

演じているからかもしれませんが、乙女の体感時間がすごく長いという描かれ方をしていると思うんです。でもそれは、オモチロイことに興味を持ってそこに突っ走っていって、積極的に時間を使っているからなんです。その姿がすごく魅力的で、これからどういうふうに歩いていこう?って前向きに考えさせてくれる素敵な物語になっています。観たあとハッピーな気持ちになって映画館を出ていただけると思うので、安心して観に来てください。

「夜は短し歩けよ乙女」は4月7日より全国劇場でロードショー


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監督:湯浅政明
原作:森見登美彦
脚本:上田誠

キャスト(声の出演):
星野源・花澤香菜・神谷浩史・秋山竜次(ロバート)・中井和哉・
甲斐田裕子・吉野裕行・新妻聖子・諏訪部順一・悠木碧・檜山修之・
山路和弘・麦人



イラスト/中村佑介 ©森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会



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